1997年11月に北海道産米の宅配を主な事業として創業。1999年から、現代表の實吉が「情報家電に関わる技術開発」をテーマとしたIT事業の取り組みを開始、しばらくは米屋とIT事業を兼ねた異色の家族経営でした。
2000年以降、学生時代からの友人達の参画により、組み込み開発が主力事業に。その後も1人また1人と仲間を増やし、おかげさまで2017年現在、社員50名を超える規模にまで成長しました。
2001年には初代「Armadillo(アルマジロ)」 を開発。
以降「Armadillo」は15年以上にわたり、ARM+Linuxの「組み込みプラットフォーム」の定番シリーズとして開発者の皆様にご愛顧いただいています。
アットマークテクノは、「世の中で使える技術こそ本物だ」という強い思いのもと、「世界に貢献する技術を提供する」という理念を掲げています。
わたしたちは、「技術者魂」を胸に日々新しい技術を追い求め、トレンドと実用技術の融合に常に試行錯誤しながら、より役立つ製品のご提供を目指して、今日も一歩一歩進み続けています。
組み込みプラットフォーム「Armadillo」も、おかげさまで発売から15周年を迎えました
「有限会社アットマーク」創業。
創業当初はなんと、北海道産米の宅配が主要な事業でした。
現代表の實吉が、情報家電時代に向けたIT事業に取り組みはじめました。
当時流行りはじめたMP3を家電とインターネットをつなぐ重要な技術と捉え、DSPをコアとしたインターネットオーディオ開発ボード「At-Audio」を開発、翌2000年1月に発表。自社製品として発表した初めての製品となりました。
At-Audio
實吉の学生時代の友人を含め開発メンバーを増員、社員が4名に。アパートの1室で、夜な夜な開発を進める日々でした。
「カネはないが技術を追い求める気持ちだけは負けない」。そんな技術者魂だけを糧に、時代に先駆けてBluetoothプロトコルスタック「At-BT」を開発しました。
左)At-BT, 右)初代Armadillo
そしていよいよ、ARMプロセッサ搭載・Linux採用のCPUボード「Armadillo(アルマジロ)」の初代機(HT1070)を開発[*1]。2001年11月に開催された(社)日本システムハウス協会主催の展示会「MST2001」(現「Embedded Technology」展の前身)で発表しました。
[*1] 梅沢無線電機株式会社と共同開発。
組み込みプラットフォーム「Armadillo」ブランド誕生
初代のArmadillo(HT1070)は、1999年の創業時から志向していた「情報家電」への想いの産物です。当時はようやく一般家庭にもインターネットが普及してきた時期で、それまでスタンドアローンなものが多かった組み込み機器にもこの波が押し寄せていました。開発資産も資金もない自分たちが、ネットワーク対応の機器の分野に刺さっていくには一体どうしたらよいのか?―考えに考えた末の解決策が、「ARM+Linux」という選択でした。
2000年頃は、MIPSやPowerPC等の多様なRISCプロセッサが進化を続け、国内ではルネサスSuperHシリーズが強かった時代です。当時のARMの一般的な知名度はまだまだ低く、携帯電話向け等の一般市場で流通しないSoC(System on Chip)やASSP(特定用途向けLSI)のプロセッサコアとして広がりを見せ始めたくらいです。一方で当時のLinuxは、サーバー/PC向けの汎用OSとして発展を続けていたものの、「リソースの厳しい組み込み機器のOSにLinux?」というのが組み込み業界のいわば「一般常識」。ARM+Linuxを選択したArmadilloは、かなり異端な部類でした。
アットマークテクノの創成期の開発メンバー達は、これからの情報家電時代に向け、SoCの進化とARMプロセッサは不可欠と考え、急速に拡大していく気運を感じていました。さらに、ちょうどそのころ、Linuxでは新メジャーバージョンであるカーネル2.4が発表され、RussellKing氏らによるARM Linuxプロジェクトも始動していました。創業から間もなく全くソフトウェア資産を持たない当社が情報家電時代を見据えた際、オープンソースで豊富なソフトウェア資産のあるLinuxはまさにうってつけ。今となってはまさに当たり前とも言える「ARM+Linux」の組み合わせも、当時は「あれもない、これもない」という状況から必死につかみ取った選択肢だったのです。
株式会社としてスタート
そして、2001年からIT事業を本格的に拡大したことにより人員をさらに増員。それまでのアパートを引き払って札幌市厚別区内のビルの1室に新しい事務所も開設しました。
「有限会社アットマーク」から「株式会社アットマークテクノ」に改変したのもちょうどこの年。海外(タイ)での事業協力の話が持ち上がり試行錯誤したのもこの年。
Armadilloの誕生とともに、現在のアットマークテクノにつながる道へ、大きな一歩を踏み出した1年でした。
新しい事務所の様子
若かりし日の實吉(現代表取締役)とタイの協力メンバー
Armadilloブランドの第二弾「Armadillo-J」を発表。
同年、FPGAボード「SUZAKU」も発表。CPUを搭載したFPGAによるハードウェアの柔軟な拡張性と、Linuxのソフトウェア資産と組み合わせることで、少量でも安価に迅速に組み込み機器を開発できるプラットフォームとして誕生しました。
製品群も次第に充実し、"会社"としての階段を一段一段上りだしたころ。
FPGAボード「SUZAKU」ブランド誕生
左)Armadillo-J, 右)SUZAKU,
新製品「Armadillo-9」を発表。「最強Armadilloを作る!」をコンセプトに、初代Armadilloの系譜を継ぎつつ、画面出力やUSB、ストレージなどの機能を新たに追加して大幅に機能UPしました(その後、2010年代以降のArmadillo-460へと初代Armadilloの系譜は受け継がれていくことになります)。
2004年秋には、札幌市中央区に本社を移転。社員もさらに増え、本格的に組織化に着手しはじめました。
札幌本社からの風景
「Armadillo-J」をパワーアップした新製品「Armadillo-210」を開発。
名刺サイズの新製品「Armadillo-200シリーズ(Armadillo-220/230/240)」を開発。「手のひらサイズで省電力、選べるラインアップ」という、現在にも続くArmadilloブランドの基本コンセプトができ上がった時期です。
同年末には初めて無線対応製品「Armadillo-300」も発表。選択いただける製品の種類にさらに広がりが生まれました。
また同じ年に、SUZAKUシリーズ向けに数百ページを超える日本語の「スタートアップガイド」を無償でWeb公開。日本国内のユーザーにも使っていただきやすいように、開発情報をよりわかりやすくご提供する取り組みをはじめました。
Armadillo-200シリーズ
Armadilloブランドで初めてCPUモジュール型を採用した「Armadillo-500」シリーズを発表。前年秋に連携を開始したEMS-JPグループとの関係も深まり、エコシステムを活かして顧客の要望に沿ったカスタマイズ製品を提供できる環境を少しずつ整えました。
この頃は、先端を行く開発技術だけに偏向せず「使える・使いやすい技術こそ、本物の技術だ」という思いが社内にも着実に浸透しはじめた時期です。お客様のモノづくりをスムーズに行えるような「組み込みプラットフォーム」ブランドとして地位を確立することを目指し、製品開発に試行錯誤を重ねました。
タッチパネル液晶付きのパネルコンピュータ向け開発セット「Armadillo-500 FX」発売。
Google Androidの開発環境が全世界に公開された時にもいち早くポーティングをするなど、スマートフォンだけでなく組み込み機器への展開を見据え、研究開発を行いました。
Armadillo-500 FX
Armadillo-200シリーズの形状を踏襲した新ラインアップ「Armadillo-400シリーズ」を発表。旧製品をご採用いただいているお客様にも同じ使い心地で新しい製品に移行しやすいように、形状互換などに配慮して設計を進めました。
また同年、「Armadillo実践開発ガイド ~組み込みLinuxの導入から製品化まで~」を公開。
組み込み開発の初学者にも理解しやいようにArmadillo-400シリーズを教材に組み込みLinux開発の基礎から解説した、三分冊に渡る分量のガイドブックを無償でWeb公開しました。
2001年の初代機発表時は「組込みにLinux?」と言われることも多かった組み込み業界でも、この頃にはLinux搭載が一般的になりつつありました。その代表格としてArmadilloブランドが認識され出していました。
Armadilloのイメージキャラクターも誕生!
アルマジロのじろうくん
Armadillo-400シリーズ
Armadillo-800シリーズを発表。
「撮る・考える・送る」をコンセプトとしたインテリジェントカメラ向けプラットフォーム「Armadillo-810」を2月に、同年7月にはマルチメディア機能に特化した「Armadillo-840」を発売。高度化し続けるシステム開発要求に応えやすいよう、これまでよりも用途特化した製品群の提供を目指しました。
Armadillo-810
また、CPUモジュール型の「Armadillo-410」を2013年秋に発売、従来の「多品種少量生産」を想定した製品群だけでなく数千台~数万台規模の量産でもコストメリットを発揮できるよう、製品選択の幅を広げました。
2013年は、ものづくり企業として次なるステージへと踏み出した1年でもありました。
夏には「札幌生産センター」を開設し、生産体制の強化に着手しました。初代機発売当初からフィールド向けに利用されることを想定した「量産向けの組み込みCPUボード」として出発したArmadilloですが、「安心でリーズナブルな組み込みプラットフォーム」としてもっと多くのお客様にご利用いただけるよう、生産体制や品質管理体制、情報提供サービスなどのさらなる充実を常に目指しています。
札幌生産センターを開設
センサーネットワークとのインターフェースやクラウドサービスとのスムーズな連携を重視したIoTゲートウェイ「Armadillo-IoT」を発表、IoT時代の幕開けに合わせた製品の提供をいち早く開始。「センサーからクラウドまで つなげる・つながる」をコンセプトに、各社のIoTクラウドプラットフォームとの連携やセンサー接続インターフェースへの対応などを推進しました。
Armadillo-IoTシリーズ誕生
エッジコンピューティング時代を念頭に置いた新ラインアップとして、NXP製の高性能プロセッサ「i.MX 7Dual」を搭載した新ファミリを発表。IoTゲートウェイ型の「Armadillo-IoTゲートウェイ G3」「Armadillo-IoTゲートウェイ G3L」、組み込みボード型の「Armadillo-X1」を順次発売。Armadilloブランドだけでさまざまな用途・形状の機器に対応できるよう、ラインアップの拡充に努めました。
Armadillo-IoTゲートウェイ シリーズ
Armadillo-X1
また、クラウド経由でIoTゲートウェイの稼動状況を沿革監視・管理できるサービス「node-eye(ノード・アイ)」の提供を開始。ハードウェアの枠に留まらず、IoT時代に必要な要素をカバーするサービスの提供にも尽力しています。
デバイス運用管理サービス「node-eye」
春に新製品「Armadillo-840m」を発表。主力製品であるArmadillo-400シリーズとArmadillo-800シリーズともに、シングルボード型とCPUモジュール型の両方がラインアップされることになり、手間をかけずにシンプルに開発したいお客様にも、より自由なカスタマイズを望まれるお客様にも、両方にお使いいただきやすい製品となりました。
Armadillo-840m
2014年に発表した「Armadillo-IoT」シリーズも主力製品に育ち、見守りシステムや動線解析システム、HEMS向けのゲートウェイなどの用途でご採用いただいています。
また、8月には「Armadillo-IoTゲートウェイ G3」の海外対応開始を発表。バンコクを中心に展開する海外販売パートナーのActivio Co.,Ltd.の協力により、主にASEAN諸国向けに機器認証を取得するなど、スムーズな海外展開を支援する仕組みとサービスの展開も推進しています。
海外対応を開始:タイ国内でのセミナー講演の様子
そして、2017年10月には、会社ロゴを一新。
新しい時代の広がりを見据えて、アットマークテクノは次の一歩を踏み出します。
アットマークテクノ 新ロゴマーク
Armadillo-640は、Armadillo-440のコネクタ配置を踏襲したシングルボード型モデルです。コアクロック528MHzのSoC「i.MX 6ULL」を搭載、RAMは512MB、ROMは4GB(eMMC)で、従来のArmadillo-400シリーズに比べハードウェア性能が大幅に向上、アプリケーション開発の自由度が高くなりました。
省電力モードを搭載し、細かな電源制御が可能です。必要な時だけ本体を起動するといった運用が可能なので、バッテリーで稼動させるような機器にも適しています。
Armadillo-640は、Armadillo-440よりも動作温度範囲を拡大し、-20℃~+80℃をカバーする予定です。
Armadillo-640は、シングルボード型ながら多数の拡張インターフェースを搭載しており、USB, SD, シリアル, GPIO, I²C, SPI, I²S, LCDなどの拡張に対応します。量産向けに、リード部品コネクタを搭載したモデルの他、リード部品非搭載のモデルも提供します。
Armadillo-440と形状互換で機能向上・新しいベーシックモデル「Armadillo-640」
ET / IoT Technology 2017で発表・展示しました
イベントレポート掲載: www.atmark-techno.com/events/et2017
Armadillo-640の最新情報をメールマガジンで配信します。(月1回程度の定期配信)
Copyright© 2001-2017 Atmark Techno, Inc.
本サイトに記載の商品名または会社名は、各社・各団体の商標または登録商標です。™、®マークは付記していない場合があります。